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第2回CDTCセミナー

こんにちは 勤務医の山本です。

今日はCDTCセミナーの2回目に参加させていただきました。

 

今回は主に支台歯形成及びレジン充填実習、SRPの実習、カリエス診断基準などについて学ばせていただきました。

 

支台歯形成とは歯を被せ物が入るように歯を削り形を整えることです。この支台歯形成をきちんと行えば被せ物との適合が合うため、2次う蝕(被せ物と歯の間にできる虫歯)ができづらく取れづらいといったような予後の良い被せ物ができます。今回は上顎の前歯(まえば)についての支台歯の形成について主に学ばせていただきました!

ポイントとしては、

・近心壁を歯軸に対して平行にする

・支台歯は歯のもとの形と相似形にする

 

 

・テーパーの角度は片面で3°〜5°前後(近遠心で合計6°〜10°)、唇側は削除量が1.3mm〜1.5mm、舌側は削除量が0.5mm〜1.5mmになるようにする

 

 

 

のようなことを学ばせていただきました。まあ、ざっくりといってしまうと、元の歯の形を忘れずに、歯から被せ物が落ちず被せ物が出し入れしやすいような程度のテーパー(先細り)を持たせて、歯と歯茎のきわの部分の立ち上がりは上から見たとき綺麗な線が見えると良いということです。

 

次はSRPと言われる手技についてです。

SRPとは歯と歯茎のきわの部分にこびりついて歯ブラシなどでは取れなくなった歯石をスケーラーと言われる器具を用いて弾き飛ばす治療です。

把持の方法から特徴があり、執筆法変法(アルタードペングリップ)と呼ばれる方法で把持します。この把持方法は普段皆さんがペンを握っている時(執筆法)よりも力を加えやすいように中指を器具の上部で支えるような握り方をします。

 

 

歯石除去には根面方向に強い圧(800〜900g)前後ををかけて、強めの力で弾くようにとる

必要があり、予想以上に強い力が必要になります。

 

歯の形態による注意事項

歯は形態が前の歯、奥の歯ごとに有る程度決まった形態があり、それぞれの歯に特徴があります。そういった特徴を持った歯に対してのSRPの方法も異なります。

歯に特有に現れる溝や陥没部、突起など特徴的な形の部分には歯石が溜まりやすく取りづらいために注意が必要です。

 

 

特にこのエナメル突起と言われる奥の歯の足の股の部分には足の股の部分に向かう突起状のものがあり、この部分の歯肉との付着は上皮性付着のため抵抗性が弱く、バイキンが入りポケット(歯と歯茎の間の溝)を作りやすく歯石も沈着しやすいです。

 

浅いポケットに対してはこのスケーラーを使用しても歯石を除去できますが、スケーラーでは深いポケット(5mm以上のもの)に対する歯石除去効率は低く、最終的には外科的に歯茎を切って開き目視で歯石を除去する方が除去効率は高いとされています。

 

次は今回のセミナーで自分が最も聞きたかった虫歯の診断基準についてです。

虫歯をどこまでを削り、どこまでを残すかや虫歯があるかどうかを判断する基準を明確にすることは難しいです。しかしある程度の指標として虫歯に対してこのような方法で診断することをお勧めするという「基準」は存在します。これを統計学的に研究されたデータをもとに歯科の学会がガイドラインを出しています。信憑性の高い研究をされたかどうかをエビデンスレベルⅠ〜Ⅵによって区分けして、それを基準に推奨度合いをA〜Dまでに区分けしています。つまりIAだと、最も信憑性のある研究をしていて、そのデータをもとに最も推奨する治療だと言うことです。

 

一例を言うと、「虫歯があるかないかを診断するための方法としてどのような方法が有効か?」という問いに対しては、

X線診査(レントゲン)→エビデンスレベルI、推奨の強さA

歯の硬さ、色を見て判断する→エビデンスレベルV、推奨の強さC1

う蝕検知液→エビデンスレベルⅣまたはⅤ、推奨の強さB

といったところです。例えばレントゲンは学会で信憑性の高い研究がされて明確な根拠があり、虫歯があるかないかを判断するための非常に良い判断方法であると言うことです。

 

また、虫歯は視診(見てあるかないかを判断する)方法も一般的です。次はその虫歯に対して行う治療(削るか削らないか?)の判断基準に関してです。

 

コードの3までは削らずフッ素などを塗り様子を見て、4以上になると削って樹脂の詰め物をしたりする必要があります。

 

最後にCR充填に関してです。CRとはコンポジットレジンの略称であり、青い光を当てて固めるプラスックでできた詰め物です。この材料は光を当てることにより材質が重合という化学反応を行い固まるのですが、それにより材料が元の大きさよりも少し小さくなる「重合収縮」と言う問題が生じます。この重合収縮は歯とCRとの間に隙間や溝を作る原因となり、そこから2次う蝕と呼ばれる虫歯が発生したり、着色や知覚過敏などの原因となります。この溝や隙間のことをコントラクションギャップと呼びます。

 

なので普通に上から光を当てるとこのコントラクションギャップが発生しやすくなるので、

光を当てる奥側にはなるべく歯がないようにしながら充填していくことが重要になります。

 

そのためには外側の歯面からあまり厚みがないようCRを盛り、こまめに光を当てていくことがコントラクションギャップを防ぐ方法になります。

 

今回のセミナーで習ったことはこのくらいです。次は別の歯の支台歯形成と歯を矯正で引っ張り上げる方法について学ぶ予定です※次回予定は変更になる可能性もあります。

 

また次回もよろしくお願いします。